認知症ケアで重要なユマニチュードとは

ユマニチュードというものは、認知症ケアにおいて重要な技法の一つです。これはフランス語の「人間らしさ」という言葉をベースにした考え方、ケアの仕方を指します。介護の現場ではどこでもそうですが、特に認知症ケアでは利用者の尊厳や個性、感情を重んじてサポートする必要があります。そのためには相手のことをよく理解した上で、その人の気持ちに配慮したケアをしなければなりません。

ユマニチュードでは、見る・話す・触れる・立つという4つの動作を基本としています。まず、相手と同じ目線になって目を合わせて見るようにします。そして、ゆっくりと目線を合わせて、信頼関係を築けるようにします。そして、ケアを行う際は穏やかな口調で優しい言葉を使うことが重要です。いきなり体を起こしたり手足を動かしたりするのではなく、「触りますね」とか「起こしますね」といった形で言葉をかけることで、びっくりさせずにケアをすることができます。

また、認知症の方の体に優しく触れることも意識します。手のひら全体で優しく触れるように気をつけます。手首などを触る時には、まず腕の上の方を触ってから徐々に場所を移すようにすることで、認知症の方にストレスを与えずに済みます。そして、可能な範囲で立ってもらえる機会を増やすようにします。立つ時間が少なくなるほど、筋力の低下などによって寝たきりのリスクが高まります。そこで、介助をする際にも、少しでも立っている時間を持てるように工夫することが大切です。